2014年06月07日

Magica Machikanensis(まちかね山の魔法)

すっかり、このブログも更新頻度がひどいことになり、実際、ここに書くネタもほぼない状態が続いているわけで。例によって買ったはいいけど、読んでない本は山積みだしねえ。

そんな中、久しぶりにレクチャーノート(というか本?)を買ってざっと目を通したので軽くレビュー。ざっと読んで、気になるマジックだけ手順追っただけという状態なので、第一印象ってことで。

買ったのはMagica Machikanensis(まちかね山の魔法)。有名マジシャンの著書もいいけど、こういうのもよく練られた実践的なマジックがあることが多く、ネット上でも評判が悪くないので興味を持って買ってみた(Youtubeでいくつか演技動画が見れるんだけど、URLは勝手に書いたらダメだよね…)。
結論から言えば、大変満足している。特に評判がよい「グリコ・チョコレート・パイナップル」はそのままレパートリーになりそうな感じで気に入った。とりあえず、いくつか気に入ったのについて触れてみる。触れてないのは単に第一印象で私の好みに合わなかっただけで、良し悪しの問題ではないと注記しておく。

「グリコ・チョコレート・パイナップル」は大変面白い。いくつかの原理をうまく組合せて、現象としても面白いマジックになっていると思う。手順に無理なところはないし、普通に不思議なメンタルマジックだと思う。特に準備がいらないところも便利。カード8枚並べられるスペースがあればできるし(別に8枚である必要もないし)。カジュアルにもできるマジックだと思うので、うまく活用できたらなあと思っている。

「O.S.P.I.S.T. 」はこの現象をレギュラーデックで実現しているのが素晴しいと思う。現象が非常にビジュアルで面白い。ぜひ、やってみたいマジックである。かなり派手な現象なので、ショーのトリとしても使えそうな感じ。私レベルでは練習しないとスムーズにできない感じだが、練習する価値があると思う。

「S.O.W.」は特に無理がなく手順としては簡単で、カジュアルに見せるにはちょうどいい感じのマジックな気がする。

「オイルショック」はやっぱりオチが面白くて、ちょっとやってみたい手順という気がした。Oil & Waterは私はノーエキストラの手順が好きというのもあるが(好きであることに合理的な理由はないので聞かないように)。

とりあえず、第一印象で気になったのはこんなところかなあ。レギュラーデックでできないのや、仕掛けが必要なのは読み飛ばしているし、コインマジックも飛ばしているし。
私の感想としては、「グリコ・チョコレート・パイナップル」と「O.S.P.I.S.T. 」で十分元が取れていて、買ってよかったと思っている。残りも気が向いたら試してみたい(いつ気が向くかわいつもながら何とも言えないが)。

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2012年11月07日

Card Fictions

さて、提灯レビューでも書くか。というのはもちろん冗談で普通にレビュー。久しぶりにちゃんと全部読んだマジックの本なので。

Card Fictionsの日本語訳。私は原著の存在すら知らなかったのだが、方々の評判を聞いて興味を持って購入。スラスラと最後まで読めた。最後までしっかり読んだマジックの本は本当に久しぶり。いつも通り思うがままに書いてみる。

一番印象に残ったのはトリックの解説ではなく、その間にある2つのコラム"Method and Style and The Perfoming Mode"と"Inducing Challenges"である。前者は「オフビート」というキーワードで語られる話に近いと思ったが、微妙に違うというか、よりdeceptiveな話だと思った。後者は「観客のコントロール」と通じる話であると思ったが、マジックの演出として、非常に巧妙な仕掛けというか考え方だと思った。特に後者は目から鱗という気がした。どちらも非常に興味深い内容でルーティンの構成、演出を考える上で非常に参考になる考え方だった。

トリックについては、「結構難しいな」というのが正直な印象。どれもよくできていて、現象としてはどれも魅力的。しかし、私から見て「読んですぐできる」レベルのマジックは無かった。とは言え、「絶望的な難易度」というわけでもなく、現象を考えれば、その難易度はバランスがとれているというか、「練習してできるようになりたい」と思わせるトリックだと思った。

一番気に入ったのは"Cincinnati Pit"。いわゆるポーカーデモストレーションである。現象が意表をついていてきれいで面白い。問題はシャッフルが簡単でないこと、ポーカーデモストレーションではよく使われる結構難易度の高い技法が必要なこと。後者の技法については、ミスディレクションというか手順の妙で負担は下がっていると言えるが、難しい技法であることに変わりはない。シャッフルは別法と2つやり方が解説されているが、私は別法の方が好み(というか、こちらの方が、たぶん、私には楽)。とは言え、別法のシャッフルでもやってみたら最初はうまくできなかったので、要練習という感じ。少し練習したらできるようになってきたので。まだ安定感ないけど。ポーカーデモストレーションは「いい手順ないかなあ」と思いつつ、レパートリーとして取り入れている手順はまだない状態だし。

次は"Colour Sense"。メンタルマジック好きな私の好みに合うし、難易度もまあ、そこそこだと思ったから。慣れというか練習が必要だけど、これはできそうな気がする。まだ、まったく練習してないから想像だけど。演出も面白くやサトルティも効いていて面白い。

"Triple Countdown"も私好みのマジックだと思った。しかし、どういう状況でこのマジックを演じるのか想像がつかなかった。大変、面白いマジックなのだが、場を選ぶ気がする。

"Master of the Mess"は現象を読んだときにはワクワクして解説を読んだのであるが、その巧妙さに感心しつつ、一方で絶望した。今の私には絶対無理。このマジックを安定して演じる技量は私にはない。大変に魅力的な現象で、手順も巧妙で本当に面白いマジックなので、できるようになりたいが、それはかなり先な気が正直している。

"Unforgettable"の感想も"Master of the Mess"とほぼ同じかな。好みの現象であるが難しい。

"Finger Flicker"はほぼ既存の内容でクレジットでもそう書かれているので省略。

"High Noon"は唯一、私の好みにあまり合わないマジックだったので省略。この手のマジックは苦手(というかやる気にならない)という本音もあり。

と書いていて、「あれ、このままでは、そもそも現象わからないじゃん」ということに気がついたので(上のリンク先に現象説明なし)、いつもながらの他力本願で現象も含めて色々書いてる訳者さんのページにリンクはっておきます。

「Card FictionsのおまけTips」も参考になった。全体として非常に読みやすい本で(原著からそうなのか、訳者の努力なのかは私にはわからないが)、本当に最後までスラスラ読めた。面白いマジックばかりで、分量もほどほどだったからかな。とりあえず、上記の通り、いくつかは練習してレパートリーにしたなと思った。

posted by shadow at 08:02 | Comment(6) | TrackBack(0) | レビュー(本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月28日

MEGA 'WAVE

最低、月2回は更新したいと思っていたのに、月1回がギリギリになってきてる。まあ、7月から「輪番休日」ってやつで休みが土日からずれたりして、スケジュール調整が色々面倒で、結局休日出勤が増えたり、他部署との調整に時間がかかったりと、ややこしいことになっているのも一因だが。仕事の量も特に減ってないしねえ。むしろ増えていて、増えた分は部下に回していたりするので、部下が大変だったりしている。しばらくはしょうがないのかなあと「しばらく」と思うことにして、今は堪えている感じ。

さて、今回は本のレビュー。本のレビュー書くのは久しぶりな気がする。なかなか読んでいる暇ないからねえ。でも、今回のMEGA 'WAVEは面白くて、読みやすく、読み始めてからさっと読めた。分量的にもちょうどいい。大変満足している。原書の存在すら知らなくて、訳本が発売されて、ようやくその存在を知ったという、そんな状態だったのだが、John Bannonらしい、クレバーな手順で勉強にもなったし、レパートリーも増えそうな感じ。最近、「人に見せるマジック」という意味においてのレパートリーが固定されてきていて、本とかDVD見ても「面白いなあ、勉強になるなあ」と思いつつ、それはレパートリーにならないということが多い。まあ、通常、2、3個マジック見せれば十分なわけで、同じ人に何度も見せる必要がなければ、自然とレパートリーは固定されていく。
ちょっと今日の本題からはそれるけど、現実問題、「何かマジックやって見せて」と言われたとき、予め想定されるときには「シカゴオープナー」を準備しておいてやるし、準備がないときには「トライアンフ」をやれば十分で、それでだいたい見ている人は満足して場が収まる。「さらに」と言わればサンドイッチ現象とか、パケットで「ラストトリック」とか、「目が肥えているな」と思う人には「リセット」辺りをやればたいてい十分。だからレパートリーが増えていかない。
という状況の中で、この本のマジックはいくつかレパートリーに入れたいと思うものがあって、非常に有益だったと思う。何と言ってもかなり派手な現象を起こしつつ、エンドクリーンというのが素晴しい。
「エンドクリーン」そのものについては色々な意見があろうかと思うし、私自身エンドクリーンではないマジックをやらないわけではない。しかし、エンドクリーンであることの「安心感」は魅力的だと思う。

以下、思うままに適当に書いてみる。当然、私の主観入りまくりなので、そのつもりで。ざっと読んで気に入ったのは「Fractal Re-Call」と「FRACTAL JACKS」。理由はどちらもレギュラーデックでできるから。残念ながらセットアップが必要だが、パケットトリックなので、枚数的にはたいしたことはないし、原理を理解していれば、覚えやすいセットアップなので、まあ、それくらいはしょうがないかなと。
あ、そうそう「Fractal」というキーワードはこの本の1つの重要なキーワードであるのだが、たぶん、私にはうまく説明できないので省略(すいません。気になる人は買って読んで下さい)。ただ、この考え方そのものが巧妙で、この本の色々な手順の中でうまく使われていて本当に「巧妙だなあ」とうなった部分ではある。
話を戻して、「Fractal Re-Call」であるが、現象はリンク先の通り(いつもながら手抜きだなあ)。この手の手順は演出も面白いし好きなんだよね。ストーリーもつけやすい(というか既についてる)。原案の方法では1箇所難しい技法があって、その点については二川先生の工夫が紹介されている。二川先生のやり方の方がはるかにやりやすく現実的。ただ、私のやり方の問題なんだろうけど、私がやるとちょっと問題があることがわかり、自分なりに別の方法を使ってみているところ。それについてはTwitterに書いたので、興味のある人はそちらを(と書いて、興味のある人が私のツイートを見つけられるのかどうかはよくわかってないのだが…)。
「FRACTAL JACKS」は本の中でも説明されているが「観客の裏をかく」ことを目的とした手順と言ってもいい構成になっていて、面白い手順である。嫌味な見せ方をすれば、とっても嫌味なマジックになるので、そこは演じる上で注意が必要であろうが。観客のコントロールに失敗すると問題が起きる可能性もあるので、そういう意味でも注意が必要な気がする。現象としては3段なんだけど、2段目辺りで悪意なく無意識に手を出す人がいそうで。
「Poker Pairadox」と「WICKED!」のレギュラーデックで出来るという意味では面白いし、使いやすいのだが、まあ、ぶっちゃけ私の好みではなかったということで。「Poker Pairadox」はNick Trostの手順のバリエーションとしてはサトルティがきいていて、非常に面白いと思った。この現象は人に見せたこともあるし、結構受ける現象であることは知っている。ただ、この本の中の他の手順を比べると、現象が弱いというか、インパクトに欠ける印象があって、面白いけどレパートリーにはならないかなという印象。マジシャン相手に「Nick TrostのあのマジックのJohn Bannonのバリエーションなんだけど」と話をする分にはかなり面白いとは思う。「WICKED!」は本当に好みとしか言いようがない。シンプルで面白い現象で、比較的簡単にできる手順だと思う。ただ、私の好みには残念ながら合ってないかな。

で、レギュラーデックではできない手順について。レギュラーデックではできないが、基本的にエンドクリーンなので、よくある「ギミックを使っているがゆえの難しさ」みたいなのはほぼなく、単に現象を面白くインパクトのあるものにするためにレギュラーではないカードを使っているという感じ(少なくとも私の印象は)。
個人的に一番気に入ったのは「Mag-7」。現象としてはワイルドカードなんだけど、何度も書いているようにエンドクリーン。エンドクリーンなワイルドカードって珍しく例えば「わいわいワイルド」なんていう売りネタはあるけど、あれは演出もカードも特殊。その点「Mag-7」は演出は普通のワイルドカードで、それでいて、エンドクリーンなので興味深い。原理の根底は上記の「Fractal」で、読んだときには「巧妙だなあ」と思った。それでいて難しくない。さらに原理がシンプルなので、演出というか見せ方は好きなように工夫仕放題なところもいい感じ。パケットの準備が必要だけど、最初からブランクカードを見せるという手順なので、「ちょっと変わったカードを使ったマジックをやります」と言ってパケットを出してこれるので、ルーティンの好きなところに入れることができて使いやすそう。
「Short Attention Scam」も面白い。面白いのだが、私の中では何かがしっくりこない。たぶん、これも好みの問題だと思うんだけど、想像するいに、私はこういう「不思議な現象があっという間に立て続けに起きる」というマジックがあまり好きじゃないんだろうなあ。じっくり、徐々に不思議を見せたいというかそんな感じ。繰り返すが、これは好みの問題で「Short Attention Scam」がつまらないなんて言うつもりはまったくない。「あっという間に立て続けに不思議なことが起きる」マジックで、エンドクリーンで、それでいて、さほど難しくないのだから、いいマジックと言える。こういうマジックが好きな人には魅力的なマジックじゃないかと思う。
最後。本のタイトルでもある「Mega 'Wave」について。これもよく考えられた手順でサトルティがきいていて、非常に興味深い。John Bannonは他にもこのような「B'Wave的な」手順をいくつか考案していて、これもその1つと言えると思う(個人的にはDuplicityが一番好きかな)。ただ、やっぱりB'Waveの代わりになるマジックではないと思うし、うまく言えないけど、すっきり感がないというか、見せ方が難しいマジックのような気がする。サトルティがきいていて、技法としても無理がなく、本当によくできた手順だと思う。ただ、2つのパケットを使って、片や○○、片や××という見せ方は若干難しい見せ方のように思える(本を持ってない人には何のことかわからないと思うけど…)。逆にそこがうまくいけば非常に効果的なんだけどね。正直、レパートリーに入れるかと考えると微妙で、少なくとも私ならこれをやるよりもB'Waveの方をやるような気がする。しつこく書いておくが、これもたぶん好みの問題。B'Waveには知っている人は知っている通り難しいところがあり、それを避けて「Mega 'Wave」のようなマジックをやるというのはありだと思う。単に私はB'Waveが好きで、やり慣れているという面が大きいのだと思う。

以上、主観満載で素直に書くと私の感想はこんな感じ。どれもまだ人に見せたことはないので、人に見せるとまた評価も変わってくるかもしれないが、読んで手順を追ってみた時点の感想としては上記の通り。繰り返すが内容には非常に満足している。大変勉強になったし、レパートリーも増えそうだから。
あと、ところどころに訳者の苦労がにじみ出ていて、逆にそのおかげでスムーズに読めたという面はあり、訳者やそれをチェックした人達には素直に感謝したいと思った。

posted by shadow at 17:37 | Comment(4) | TrackBack(0) | レビュー(本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月06日

奇術探求第3号

えーと、例によって愚痴(を越えた話かも)から。水木金と3連続で東京出張で、どれも朝7時代の特急に乗る必要があって、さらに最後の金は午前に東京で会議、午後は14時半から職場で会議というハードなスケジュールで「勘弁してくれ〜」状態にあった。で、その最後の会議の後、担当者と半分仕事、半分雑談的感じで話をしていたときに、そこにいた偉い人と私との会話があまりにも象徴的だったので、ちょっと書いてみる(かなりブルーというかブラックな話なのでそのつもりで)。
その偉い人とは私の入社以来のお付き合いで、色々と配慮して、私を助けてくれている人である。最初の仕事での覚えがよかったらしく、えらく私を買ってくれている。で、私が「今もう死にそうですよ」と苦笑いしながら言った後、その偉い人はこう言った。「いや、こう言っちゃなんだけどさ」と前置きして、「よく死んでないなと思ってるよ」と。悪気も何もなく、純粋に(逆に言うと心配して)そう言ったのだと理解した。
その偉い人の言いたかったことは、今の状況だけでなく、10年前の話も含んでいた。10年前、私のいる事業部門は大きなプロジェクトを進めていたが、どうにも人が足りなかった。で、「彼にやらせれば何とかなる」と言い始めた人がいて、その「彼」が私だった。いいように解釈すれば、それだけ能力を買ってくれていたとも言える。が、現実は地獄の現場にいきなり投入されて、文字通り地獄を見た。私の人生で最も地獄だった時期と言っていい(色々な意味で)。犠牲者も出た(どういう意味で「犠牲」だったのかはここには書けないくらい)。プロジェクトは結果としては成功し、そのときまで無かった市場を確保し、今の仕事にもつながっている。が、その代償はあまりに大きく、そのプロジェクトの関係者で今も会社に残っている人を「生き残り」と呼ぶ人がいたり、「あれは死のプロジェクトだった」と言う人もいるくらいである。
そうしたことを含めて、私について「よく死んでないな」という表現になるということらしい。10年前のことはたぶん、無意識に自分の中で蓋をしていたんだと思うけど、「確かに、あのときに比べると、まだましだよなあ」と思ったりもして、色々なことを考えてしまった。

さて、気を取り直して(こんなの読んだ後では無理?)、奇術探求第3号について。面白かった。このシリーズはレパートリーに入れるかどうかはともかく、勉強になるし、刺激になる。「赤と黒」がテーマであるが、"Out of This World"についてがほとんどと考えていい。最初の「フジカラー2008」は"Out of This World"とは関係ないマジックであるが、カジュアルに見せるにはほどよく「あ、それでできるんだ」的な何とも言えないすっきり感が素晴しく、この後何かに応用できそうな気がして面白かった(例によって「気がする」だけであるが)。
で、"Out of This World"関係であるが、ゆうきとも氏の覚書はやはり勉強になった。「うん、うん」とうなづきながら読んでしまった。
そして、3手順載っている"Change the World"はいい刺激になった。"Out of this world"をパケットにして枚数を減らすことによって、"Out of this world"の持つ様々な問題を解決しようという試みで、観客の印象としては、たぶん"Out of this world"の方が強烈であろうが、「即興でできて、かなり説得力があって、時間も適度」という辺りを考えると、"Out of this world"をやるより"Change the World"の方が適切であろう場面はいくらでも想定できるので、そういう意味で興味深いと思った。
起きる現象としては、同じようなマジックは記憶にあるのだが(微かな記憶で、誰の何という作品だったか、さらにその手順の詳細も思い出せないのだが)、「観客が自由に選べる」というところの選択の自由度の高さの印象は"Change the World"がかなり良くて、説得力がある気がして気に入った。3手順読んだ後、早速、自分なりの手順を考え始め、「とりあえず、こんなところか?」と1手順つくったところで一応満足(さほど、オリジナリティはなく、3手順から適度に寄せ集めして、ちょっと技法を変えた程度だけど)。ぜひ機会があれば、やってみようと思っている。即興でできるのはとにかく便利。

で、"Out of this world"そのものについてであるが、ついでに書いておくと、実は私はこれはまだ1回しか人に見せたことがない。少々ネタバレであるが、原案の「枚数を数える」というところの負担の高さがどうにも気に入らず、実際にそこでトラブルになりかけたというのがトラウマになっていて、それ以降一度も人に見せていない。
そんな中、某所で興味深い手順を発表された方がおり、私自身はそれをレパートリーとしている(と言いながら、人に見せたのは1回だけだけど。セットアップ必要なのは普段あまりやらないからねえ)。Wyman JonesとPaul Harrisによる"Galaxy"の影響を強く受けているらしいのだが、"Galaxy"を知らないのでよくわからない(今書いたクレジットも奇術探求第3号で初めて知った。Paul Harrisの作品という認識はあったのだが)。途中のガイドカードの交換がなく、枚数を数えることなく、観客に最後まで配ってもらえるというのは色々な意味で楽。もちろん、その後の仕事はかなり増えるけど、私の好みからいけば、こちらの方がやりやすい(この辺りの差についてはゆうきとも氏も言及しているけど)。
他のカードマジックをやらない、あるいはやったとしてもパケットものにするとかすれば、リセットもできなくはないし、雰囲気によってはテーブルホッピングでやってみてもいいかなと真面目に検討中。時間がかかるのと、あまりにも現象が強烈過ぎるのがテーブルホッピングで見せるにはアンバランスな気がして、まだ悩んではいるが(というか、まだ具体的にそういう話があるわけじゃないし)。

というわけで、"Out of this world"にからんで、今回もいい刺激受けたなあと思っている。その他にもカードマジックだけでも、色々考えたいこと、練習したいことはあって、それなりに楽しい感じ。問題はやっぱり時間がないことだろうなあ。体もだるいし。

posted by shadow at 01:28 | Comment(3) | TrackBack(0) | レビュー(本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月04日

SATORU NOTE

GW少ししか仕事せずにそれなりにのんびり。逆にバタバタとプライベートが忙しいが。まあ、今まで忙しくてプライベートが不十分だったからねえ。
と言いつつ、明日はマジックショーの予定だったり。人数規模ではステージ規模な気がするが、ステージはないし、そもそもステージマジックはできないので、サロンネタで、明日はメンタル中心でいってみようかなあと思っているところ。それなりの規模でないとできないメンタルとかあるからやってみたいし。
今日はそのためのネタの自作とか、準備でかなり時間かかった。でも、一応納得できる物ができたと思う。あとは演じてみてどうかだねえ。楽しみ楽しみ。

さて、本題。結構前に買っていたのに、なかなか読めず、ようやく読んで、手順追ってみたりできたので、「SATORU NOTE」をレビューしてみる。ご存知(だと思うのだが)、さとるさんのレクチャーノートである。さとるさんは個人的に知り合いである数少ない名の知られたマジシャンである(他にいるのか?という話はおいておいて)。「レクチャーノートを出した」という知り合いは他にもいるけどね。
さとるさんは何度か、水戸マジッククラブの例会に参加して下さり、その度に色々勉強させてもらった。そのとき勉強させてもらったことを含めて色々とこのレクチューノートに書かれていて、大変勉強になった。
あえて、誤解を恐れず、素直に言うなら、原理、トリックとして、驚くようなものは特にない。しかし、「このマジック演じると受けるだろうなあ」と思う物一杯である。その一方で「さとるさんが演じるから受けるのであって、私が演じると…」というのは間違いなくあるのだが、そこを抜きにしても、色々勉強になるノートであるのは間違いないと思う。
トミーワンダーのDVDを見たときにも同じような感想を持ったんだけど(って前にも書いたような)、「この場面でこうすることで、観客の心理はこうなる」的な考察が随所にあり、これがとっても勉強になる。その内容そのものが勉強になるし、そういう思考というか、「そこまで考えるのか!」という今まで真面目に考えてこなかった部分へのわかりやすい考察が刺激になるというか勉強になるというか。繰り返すが、トミーワンダーのDVDを見たときから意識するようにはなったんだけど、「ここまでは考えてなかったな」というのが正直な感想。
個別のマジックについて、あれこれ言う気にちょっとならない。悪い意味ではなく、そういうのが野暮なような気がしてしょうがないのである。「レパートリーに入れるとしたら」と考えても、色々微妙。いい意味で「さとるタッチ」であり、そのままレパートリーに入れるのはたぶん難しい。「サンドイッチエーセス」なら、普通にできるかなあと思うけど、あとは自分に合うようにアレンジしないと難しかろうという気がする。
ただ、どれも間違いなく受けるだろうなあという気はする。というか、たぶん「受ける」という実績は十分あるマジックを載せているんだと思う。「焼き肉カード」「QRコードの予言」「コインの予言」は実際に見たことあるけど、どれも面白かった(前者2つは結構前なので、その後色々アレンジされているような気もするけどよくわからない)。
さとるさんと会って、話して思ったのは「この人は本当にマジックが大好きなんだ」ということ。私もマジックは好きだけど、さとるさんには遠く及ばないなと思う。アイデアも素晴しいが、何かひらめいたとき、それをじっくり成熟させていくことができる、その根気というか粘り強さを見ると、「マジック好きなんだなあ」って思う。

基本的に、私はオリジナリティがないので、人が考えたトリックをトリックとしては、ほぼそのまま演じているだけで(まあ、多少演出は考えるけど)、オリジナリティがあって、自分のトリックを考えられる人は素直に尊敬する。その上、このレクチャーノートは上記の通り、色々と勉強になった。自分なりの演出を他のマジックにつけるときに参考にできるし。いい買物したと思う。最近、さとるさんにお会いする機会はないけれど、お会いしたら、また、色々教えて頂きたいと思った。

posted by shadow at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー(本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月29日

Card Magic Designs

読み終わって、一応手順も一通り追ったので、速報という感じで、思ったこと書いてみる。今話題の本であるCard Magic Designsである。若干批判的なことも書く。「そんなこと言うけど、お前にこれだけの本が書けるのか?」と言われれば、答えは当然Noであるが、だからと言って、批判的なことを書いてはいけないということはないと思うし、本当に思うところを書いてみる。

と言いつつ、結論としては値段分の価値は十分あったと満足している。いくつかはレパートリーにしたいなと思い練習を開始している。簡単ではない物もいくつかあるが、大きな無理はなく、十分実演可能なレベルにあることはよくわかるし、そうなるように工夫し、構成されているのは素晴しい。とは言え、この値段であるので、人によっては当然、値段分の価値を感じないかもしれないとは言っておく。

最初にDVDから見ることにした。トリックを知ってから実演を見るのはある意味不幸だと思うから。一応、著者の佐藤氏は「マジシャンも不思議がらせる」ことを意図しているところがあるので、マニア視点から感想を述べてみる。DVDを見た時点で「うわ、嘘、ありえない!」と思ったものは正直なかった。追える、追えないという観点で言うなら、すべてが追えたわけではないが、「まあ、こんな感じだろうな」という程度には思えたし、完全に追えたトリックもあったし、「魔法に見える」というレベルの不思議さは感じなかった。
と書くとたいしたことのないように思えるかもしれないが、実はこの感想には1つ大きな問題がある。というのは、DVDを見る前に冒頭の松田道弘氏の文章を読み、そこに書いてる「仕掛け」が気になって、先にそこだけ見てしまったのだ(そういうこと書いてなければ、その後素直にDVD見たのだが…)。そして、そこには、この本の中で最大の秘密が書かれており、その秘密を知った後にDVDを見てしまうと、普通に半分くらいのトリックは追えてしまうのである。「失敗した!」と強く思った。この本の肝心なところの不思議さを目にする機会を私は永遠に失ったのである。私の上記の感想はこのような事情を踏まえた上で読んで頂きたい。その部分の不思議さについては、想像で「たぶん、相当不思議に見えると思う」と言う他なく、それ以上のことは残念ながら言えない。

さて、個別の感想にいこう。一番気に入ったのは、動画も公開されている「アクロバット・リーダー」。現象がすっきりしていて、マニアにも不思議に見えるマジックであろうと思う。「あのテクニック使っているんだろうな」とだけ思い、手順を追ってみることはしなかったので、「解析」という意味において、どこまで追えるかは不明であるが、1回見ただけで追い切るのはかなりのマニアでも難しかろうと思う。比較的難しい技法と、大胆な動作と、巧妙なサトルティと、緻密な計算の上に成り立っているトリックでこういうのが佐藤氏の真骨頂ではないかと勝手に思った。そのテクニックが使えるようになれば、さほど難しくないという意味においてもよくできているトリックであると思えるし。現在練習中。このテクニックは最近、元々興味あったし。
次に気に入ったのは「ブッシュファイア・トライアンフver1.5(誤記訂正)」である、言わずと知れた、前作のあれのバージョンアップである。「観客に選ばせるカードが1枚」というだけで、大変興味を持った。個人的好みであるが、前作の「2枚選ばせる」というところはどうにも気に入らなかった。なので、前作のは演じたことすらなく、よくわからないのだが、今回の方が、より混ざっている感じが出ているし、私は「これならやってみたい」と思った。また、著者のこだわりが色々見られたのもいい感じ。前作の発表以降、あちらこちらで誰かが演じてる動画をご覧になったようで、それに対して不満がかなりあったようで、その辺りのことを詳しく説明してくれているのは嬉しいことである。よく練習してぜひやってみたい。
とりあえず、この2つは群を抜いて気に入った。その他としては、DVDを見たときにきれいだと思ったのは「リヴァース・ハイライト」、「アナザ・オールバック」、「ワーカービー・コレクターズ」(これは不幸にして上記の理由で追えたしまったのであるが)辺りか。
「リヴァース・ハイライト」、「アナザ・オールバック」は動画の時点で「あの技法使ってるんだ。でもきれいだなあ」という感想でそれは予想通りだったのであるが、その技法についての佐藤氏なりの考察やバリエーションが書かれていたのは参考になった。難しい技法でなかなか実戦投入できないでいるのだが、挑戦する価値を感じた。しかし、この本では、この技法よく出てくるんだよね。佐藤氏はあまり苦にしてないってことなんだろうね。そこら辺は要練習という他ないでしょう。でも、さらりとできるとかなり不思議には違いないと思う。
DVDに無かったところで言うと、「ラッキーナンバーポーカー」と「ゼン・ダービー」は私好み。後者は予言さえ用意しておけば、デックの状態としては即席で、借りたデックでもできるのは魅力的。同じような現象のトリックは他に見たことあるが、即席のは見たことなく、そこが魅力的。「ラッキーナンバーポーカー」は「この原理をこう使うとは」というところが興味深く、すっかり忘れていた原理だけど、思い出して興味が出てきた。面白い。
で、問題は、この本の約半分を占める、この本最大の秘密を使ったマジックの数々。マニアも不思議がらせるトリックであるのは事実であるが、私の中では微妙。従来からある現象を、この秘密を使って、よりクリーンに実現しているという点では、マニア相手でも、そうでない相手でも十分受けるというのはたぶん事実。実際問題、秘密の動作というか、怪しい動作は極限まで削られているし、そういう意味でのクリーンさは同じような現象の他のマジックと比較してもかなり高いと思う。その上で難易度はかなり低い。ただ、佐藤氏の狙いはわかるのだが、若干「マニア向け」に寄っているような印象を受ける。それは甘えなのかもしれないけど、非マジシャンにはその手段より、現象というか見せ方を工夫した方が受けはいいように思えてしまう。それは見る人のレベルというか、どこまで不思議がらせるかというバランスの問題のような気もするが。
その中でも「ワーカービー・コレクターズ」はちょっとやってみたいと思った。コレクターにこだわるマニアからすれば、ある意味納得できない解決法を取っているのであるが、演者の負担と、インパクトという意味では捨てがたい効果があるように思う。「アムニージア(誤記訂正)」もさっと見せるにはインパクトはありそうな感じ。あとは、まあ、現時点(あくまで現時点で)、私は同じような現象達成するなら他の手順を使う気がする。繰り返すが、クリーンさは他にないくらい十分ある。問題はそのことにどこまでの価値を感じるかであると思う。
あと、個人的好みとして、準備が面倒なのはたぶんやらないので、準備が面倒ないくつかのマジックは保留。

というのが、現時点の私の感想。本当にいい刺激にはなった。レパートリーに入れたいマジックもいくつかある。こういう本が持っと出てくれればいいのにとも思う。ただ、「マニアもそうでない人も同じように不思議に思えて楽しめるマジック」という意味では少々微妙なところにあるように思う。どちらかというと「マニア向け」という方に寄っている気がする。それはしょうがないという気もするけど。前作はもうちょっと非マジシャン向けだったような印象を受けているので、個人的にはそこがちょっと(本当にちょっと)、非マジシャン寄りであって欲しかったなという気がしている。まあ、そこはここで見せて頂いた様々なアイデア、考え方を咀嚼して、自分なりに手順構成してければいいんだと思うんだけ、当然、それは難しいわけで。
とりあえず、かなり刺激になったのは間違いない。発展させていくのは先のことにして、とりあえず、いくつかのマジックをしっかり練習したい。

(追記)ボーナストリックも無事手に入れた。これもまたよく出来ていて、すぐに気に入り、必要な小道具も速攻で作成した。セットアップが必要なマジックであるが、トリックのシンプルさと、説得力という意味では非常に興味深い。ぜひ、これもやってみたいマジックである。

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2008年05月27日

奇術探求 創刊号

最近レビュー書いてないなあ、結構たまっているなあということで、気が向いた物から適当にレビューしてみる。ちなみに5分間コンテストの方はまだ決まってない。というか、まだ真剣に考え始めてない。まあ、いいや、どうにかなるでしょう。

というわけで、久しぶりのレビューはつい数日前に買ったばかりの、奇術探求
「水漏れと油漏れ」ってどんなのかなあとか、ゆうきとも氏ことだから、勉強になる手順になっているんじゃないのかなあと、Oil&Water好きの私が我慢できるわけもなく購入した次第。
いやー、面白かった。色々と考えさせられた。Oil&Waterってだいたい現象は3段構成になっていることが多いし、私もそれが好きなんだけど、3段構成にすることに、それなりに意味を持たせて、さらに意外なクライマックスを用意しているということで、非常に興味深いプロットである。その1つのプロットについて、色々な手順が載っているのはかなり楽しい。
意外なクライマックスは、印象としては「奪還」を思い出した。あんな感じ。
手順としては、ゆうきとも氏の「漏水」が一番気に入ったかな。「遺漏」も捨てがたいが。この辺りは好みという他なく、どれがどうとか特に言うつもりはない。ただ、「漏水」にしても、福田氏の手順にしても、若干1段目がしっくりこなくて(本当に好みの問題で)、現在、あれこれ試行錯誤中。一応、自分なりの手順を構成してみたが、まだまだ工夫の余地はありそうで、色々と楽しんでいるところ。2段目以降は今のところ「漏水」の手順をそのまま使っている。

あと、レイ・コスビーのOil&Waterについて、私は以前にレイ・コスビーのDVDを見たときに「あれ、ジェニングスも同じことやってなかったっけ?」と思い、「この手順は誰が考案したの?」と思っていたのだが、同じことを思っていた人は他にもそこそこいたらしく、それについての調査結果が載っていたのは個人的に結構嬉しかったりした。結論はここには書かないけど(書いちゃうと営業妨害な気がするので)。

そうそう、この本、妙に読みにくい気がしたのは私だけ?内容は素晴しいと思うのだが、私はどうにも読みにくい気がする。2段組になっていて、1行が短いのが理由のような気もするけど、気がするだけでよくわからない。

とりあえず、Oil&Water好きな人は買うべき資料じゃないかなと思う。プロットを実現するための手順については、色々なやり方があるだろうし、驚くような手順、原理があるわけではない(もちろん、色々計算されていて完成度の高い手順が載っているのであるが)。それよりも、このプロットそのものに価値があると思う。いい刺激になって、色々考えてみたくなると思うので、そういう意味でお勧め。次号はOil&Water特集らしい。今から楽しみ。

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2008年01月05日

ゆうきとものクロースアップ・マジック

加藤英夫氏の記事で面白い記事を見た。私も色々思うところある話なので、この記事について思うところ書いてみたいと思ったのだけど、また時間のあるときに(と言っているうちにタイミングを逃して結局何も書かないことが多いのだが)。

今日は久しぶりに本のレビューということで。ゆうきとものクロースアップ・マジックをレビューしてみる。
入院中に発売された本で、退院してすぐに購入した。退院後の自宅療養期間にほぼ読み終えていたので今更ではあるが、一応レビューしてみる。タイトル通り、ゆうきとも氏の作品を集めた本で、ゆうきとも氏の作品はかなりの数をレパートリーに入れているので、非常に興味があった。
内容としては、既に「トランプの友」とか「ワイズワークス」のシリーズに収録されているものもあるが、個人的にはDVDよりも本の方が色々便利なので、そういう重複は気にならない。実際問題、DVDを見直すのが面倒でほったらかしになっていたマジックがこの本を読むことによってレパートリーになりそうだったりするし。
全体としては、ゆうきとも氏の作品らしく、比較的演者の負担が軽い割には効果的なマジックが多いという印象を受ける。以下、気に入ったマジックを中心にレビューしてみる。先に書いておくが、正直なところ、コインマジックは斜め読みである。現象が好みに合わないとか、準備が面倒とかそんな理由で。
とりあえず、付属のDVDを見てみる。タネを知る前に演技を見ておきたいと思うから。そういう意味ではDVDがついているのはありがたい。DVDを見た時点で興味を持ったのは「ワイルド・ワイフ」「恋占い」「ミスティック5」「ピュアエーセス」「シカゴ・クローザー」「デュオ」というところ。興味を持った理由はそれぞれだが。
「ワイルド・ワイフ」はこの本の中で最も気に入ったマジックである。マニア的にはあまり不思議ではないマジックであるが(簡単に追えるので)、普通の人には受けやすいマジックであると思う。現象的には Everywhere and Nowhere と Signed Card を足したようなマジックである。演出がコミカルなので、演じる人を若干選ぶ気がするのだが、現象としては面白く、それが簡単にできるのが素晴しい。数枚セットが必要だけど、まあ、これくらい何とかなるでしょう。絵札4枚が残るので、その後それを使ったマジックにつなげてもいいし、使い勝手がいいマジックだと思う。
「恋占い」は久しぶりに「不思議」と思ったマジック。アンダーダウンディールを使った花占いの演出のマジックであるのだが、2人目のカードが出てくるところは結構不思議だった。「シャッフルさせたのになんで?」ということで。同じような演出のマジックに「カードマジックおとぎ話」に収録されている「恋の行方の花占い」とか「セルフワーキング・マジック事典」に収録されている「花占い」とかもあるが、私は「恋占い」がバランスが取れていると思う。「恋の行方の花占い」は観客にかなりシャッフルさせるので、そういう意味での不思議さはあるが、手順が複雑で、観客はその複雑さにごまかされているような印象を受けそうな気がするし、「花占い」は勘のいい人なら数理的な匂いを感じそう。演出としては一番受けそうなのは「花占い」のような気もするが。というわけで、原理としては結構不思議なので、演出をさらに工夫して使えないものかと思っているところ。
「ミスティック5」は「トランプの友」で以前に見て、当時は難しくてあきらめたマジック。「そう言えばそんなマジックも」と思い、本を見ながら練習した次第。パケットトリックとしては結構面白いと思う。使う技法がちょっと難しいので要練習であるが、技法の練習にもなるし、コツコツ練習している。うまく説明しながらやらないと若干現象がわかりにくいのが難点かなあ。
「ピュアエーセス」はマニア視点で面白いマジック。現象を達成するための手順が色々工夫されていて面白い。普通の人よりマニアに受けるマジックではなかろうか。現象としてはエースアセンブリとリバースである。リバースを実現するための工夫が面白い。ただ、本の中にも書いてある通り、エースではなく絵札を使った方がもっと楽にクリーンにできるのも事実。個人的には「絵札でいいんじゃないの?」という気はする。まあ、そこをこだわるのがマニアには受けるわけであるが。
「シカゴ・クローザー」は名作「シカゴ・オープナー」をオープナーではなくいつでもできるように工夫しているところが面白いと思った。「シカゴ・オープナー」は私の大好きなマジックでよくやっているのだが、セットの関係上基本的にオープナーとしてやるしかない。そこを工夫して、いつでもできるようにしているのは非常に参考になる工夫であった。ただ、最後の現象について「それ本当に必要なの?」という気がしないでもないので、最後についてはちょっと考えてみようかなあと思っているところ。また加藤英夫氏の記事であるが、こんな記事もあるので、終わり方は工夫したいと思っていたところだし。
「デュオ」はこの本で唯一、気に入ったコインマジックである。「ワイズワークス」にも収録されていて、そのときから一応練習してはいるのだが、しばらくほったらかしになっていたマジック。テーブルホッピング向きで、終わると同時にリセットされているところ、観客の手を借りればテーブルが必要ないところとかが便利で使えそうだなと思っている。技法としてはあまり難しいことはしていないが、パントマイムの要素が強いところがあるので、そこが要練習。正直なところ、そういうのは苦手なので。まあ、苦手とばかり言ってはいられないので練習あるのみなのだが。
他のマジックもかなりいいマジックだと思う。私としては、既にDVDの時点でレパートリーになっているので、今更ここでは紹介しないというだけの話で。色々な考え方はハンドリングが勉強になるし。文句なくお勧めの本であると思う。

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