最低、月2回は更新したいと思っていたのに、月1回がギリギリになってきてる。まあ、7月から「輪番休日」ってやつで休みが土日からずれたりして、スケジュール調整が色々面倒で、結局休日出勤が増えたり、他部署との調整に時間がかかったりと、ややこしいことになっているのも一因だが。仕事の量も特に減ってないしねえ。むしろ増えていて、増えた分は部下に回していたりするので、部下が大変だったりしている。しばらくはしょうがないのかなあと「しばらく」と思うことにして、今は堪えている感じ。
さて、今回は本のレビュー。本のレビュー書くのは久しぶりな気がする。なかなか読んでいる暇ないからねえ。でも、今回のMEGA 'WAVEは面白くて、読みやすく、読み始めてからさっと読めた。分量的にもちょうどいい。大変満足している。原書の存在すら知らなくて、訳本が発売されて、ようやくその存在を知ったという、そんな状態だったのだが、John Bannonらしい、クレバーな手順で勉強にもなったし、レパートリーも増えそうな感じ。最近、「人に見せるマジック」という意味においてのレパートリーが固定されてきていて、本とかDVD見ても「面白いなあ、勉強になるなあ」と思いつつ、それはレパートリーにならないということが多い。まあ、通常、2、3個マジック見せれば十分なわけで、同じ人に何度も見せる必要がなければ、自然とレパートリーは固定されていく。
ちょっと今日の本題からはそれるけど、現実問題、「何かマジックやって見せて」と言われたとき、予め想定されるときには「シカゴオープナー」を準備しておいてやるし、準備がないときには「トライアンフ」をやれば十分で、それでだいたい見ている人は満足して場が収まる。「さらに」と言わればサンドイッチ現象とか、パケットで「ラストトリック」とか、「目が肥えているな」と思う人には「リセット」辺りをやればたいてい十分。だからレパートリーが増えていかない。
という状況の中で、この本のマジックはいくつかレパートリーに入れたいと思うものがあって、非常に有益だったと思う。何と言ってもかなり派手な現象を起こしつつ、エンドクリーンというのが素晴しい。
「エンドクリーン」そのものについては色々な意見があろうかと思うし、私自身エンドクリーンではないマジックをやらないわけではない。しかし、エンドクリーンであることの「安心感」は魅力的だと思う。
以下、思うままに適当に書いてみる。当然、私の主観入りまくりなので、そのつもりで。ざっと読んで気に入ったのは「Fractal Re-Call」と「FRACTAL JACKS」。理由はどちらもレギュラーデックでできるから。残念ながらセットアップが必要だが、パケットトリックなので、枚数的にはたいしたことはないし、原理を理解していれば、覚えやすいセットアップなので、まあ、それくらいはしょうがないかなと。
あ、そうそう「Fractal」というキーワードはこの本の1つの重要なキーワードであるのだが、たぶん、私にはうまく説明できないので省略(すいません。気になる人は買って読んで下さい)。ただ、この考え方そのものが巧妙で、この本の色々な手順の中でうまく使われていて本当に「巧妙だなあ」とうなった部分ではある。
話を戻して、「Fractal Re-Call」であるが、現象はリンク先の通り(いつもながら手抜きだなあ)。この手の手順は演出も面白いし好きなんだよね。ストーリーもつけやすい(というか既についてる)。原案の方法では1箇所難しい技法があって、その点については二川先生の工夫が紹介されている。二川先生のやり方の方がはるかにやりやすく現実的。ただ、私のやり方の問題なんだろうけど、私がやるとちょっと問題があることがわかり、自分なりに別の方法を使ってみているところ。それについてはTwitterに書いたので、興味のある人はそちらを(と書いて、興味のある人が私のツイートを見つけられるのかどうかはよくわかってないのだが…)。
「FRACTAL JACKS」は本の中でも説明されているが「観客の裏をかく」ことを目的とした手順と言ってもいい構成になっていて、面白い手順である。嫌味な見せ方をすれば、とっても嫌味なマジックになるので、そこは演じる上で注意が必要であろうが。観客のコントロールに失敗すると問題が起きる可能性もあるので、そういう意味でも注意が必要な気がする。現象としては3段なんだけど、2段目辺りで悪意なく無意識に手を出す人がいそうで。
「Poker Pairadox」と「WICKED!」のレギュラーデックで出来るという意味では面白いし、使いやすいのだが、まあ、ぶっちゃけ私の好みではなかったということで。「Poker Pairadox」はNick Trostの手順のバリエーションとしてはサトルティがきいていて、非常に面白いと思った。この現象は人に見せたこともあるし、結構受ける現象であることは知っている。ただ、この本の中の他の手順を比べると、現象が弱いというか、インパクトに欠ける印象があって、面白いけどレパートリーにはならないかなという印象。マジシャン相手に「Nick TrostのあのマジックのJohn Bannonのバリエーションなんだけど」と話をする分にはかなり面白いとは思う。「WICKED!」は本当に好みとしか言いようがない。シンプルで面白い現象で、比較的簡単にできる手順だと思う。ただ、私の好みには残念ながら合ってないかな。
で、レギュラーデックではできない手順について。レギュラーデックではできないが、基本的にエンドクリーンなので、よくある「ギミックを使っているがゆえの難しさ」みたいなのはほぼなく、単に現象を面白くインパクトのあるものにするためにレギュラーではないカードを使っているという感じ(少なくとも私の印象は)。
個人的に一番気に入ったのは「Mag-7」。現象としてはワイルドカードなんだけど、何度も書いているようにエンドクリーン。エンドクリーンなワイルドカードって珍しく例えば「わいわいワイルド」なんていう売りネタはあるけど、あれは演出もカードも特殊。その点「Mag-7」は演出は普通のワイルドカードで、それでいて、エンドクリーンなので興味深い。原理の根底は上記の「Fractal」で、読んだときには「巧妙だなあ」と思った。それでいて難しくない。さらに原理がシンプルなので、演出というか見せ方は好きなように工夫仕放題なところもいい感じ。パケットの準備が必要だけど、最初からブランクカードを見せるという手順なので、「ちょっと変わったカードを使ったマジックをやります」と言ってパケットを出してこれるので、ルーティンの好きなところに入れることができて使いやすそう。
「Short Attention Scam」も面白い。面白いのだが、私の中では何かがしっくりこない。たぶん、これも好みの問題だと思うんだけど、想像するいに、私はこういう「不思議な現象があっという間に立て続けに起きる」というマジックがあまり好きじゃないんだろうなあ。じっくり、徐々に不思議を見せたいというかそんな感じ。繰り返すが、これは好みの問題で「Short Attention Scam」がつまらないなんて言うつもりはまったくない。「あっという間に立て続けに不思議なことが起きる」マジックで、エンドクリーンで、それでいて、さほど難しくないのだから、いいマジックと言える。こういうマジックが好きな人には魅力的なマジックじゃないかと思う。
最後。本のタイトルでもある「Mega 'Wave」について。これもよく考えられた手順でサトルティがきいていて、非常に興味深い。John Bannonは他にもこのような「B'Wave的な」手順をいくつか考案していて、これもその1つと言えると思う(個人的にはDuplicityが一番好きかな)。ただ、やっぱりB'Waveの代わりになるマジックではないと思うし、うまく言えないけど、すっきり感がないというか、見せ方が難しいマジックのような気がする。サトルティがきいていて、技法としても無理がなく、本当によくできた手順だと思う。ただ、2つのパケットを使って、片や○○、片や××という見せ方は若干難しい見せ方のように思える(本を持ってない人には何のことかわからないと思うけど…)。逆にそこがうまくいけば非常に効果的なんだけどね。正直、レパートリーに入れるかと考えると微妙で、少なくとも私ならこれをやるよりもB'Waveの方をやるような気がする。しつこく書いておくが、これもたぶん好みの問題。B'Waveには知っている人は知っている通り難しいところがあり、それを避けて「Mega 'Wave」のようなマジックをやるというのはありだと思う。単に私はB'Waveが好きで、やり慣れているという面が大きいのだと思う。
以上、主観満載で素直に書くと私の感想はこんな感じ。どれもまだ人に見せたことはないので、人に見せるとまた評価も変わってくるかもしれないが、読んで手順を追ってみた時点の感想としては上記の通り。繰り返すが内容には非常に満足している。大変勉強になったし、レパートリーも増えそうだから。
あと、ところどころに訳者の苦労がにじみ出ていて、逆にそのおかげでスムーズに読めたという面はあり、訳者やそれをチェックした人達には素直に感謝したいと思った。


私も、先日きょうじゅさん本人から直接購入させて頂き、私も大変素晴らしい内容だと思いました。
どれも良かったのですが、shadowさんとは違って「Mag-7」は私の肌に合わないカンジでした。
と、言いますのもブランクカードを必要以上に持っていることの必然性が感じられないんです。ブランクカードのパケットをわざわざ別個にして、取り出してくるにも関わらず、演技で使わない、余分なカードがあるというのはただの演者の準備不足にしか思えません。
「だったら、最初から7枚だけ持ってくればいいじゃん。なんでいらないカードがあるの?」
と、観客は思うと、思ったのですが(日本語が変だ)shadowさんはどうお考えでしょうか?
この点がクリアできれば、巧妙な見事なトリックだと思うんですが… それとも、私が考えすぎなだけ?
「Mag-7」のその点については私も考えました。私の考えとしては、そもそも「ブランクカード」というのは普通の人には特殊なカードです。そして、このマジックの結末を見ればわかりますが、観客の印象とすれば「このマジックをする度にブランクカードは減っていく」と思うはずです。
あまり露骨には言わない方がいいと思いますが、ブランクカードを出してきて、「これからお見せするマジックは既に何度もやったので、これだけの枚数になってしまいました。このうち7枚使います」みたいな演出を入れれば(具体的なセリフは私もまだ考え中ですが。上記は少々露骨だと思います)、これで「ブランクカードが7枚以上あること」への違和感はほぼ無くなると考えています。逆の発想と言えば大袈裟ですが、「たくさんあるブランクカードのうち7枚だけ使う」という印象を与えれば、残ったブランクカードについて違和感を持たれることはほぼないと思います。
正直、実のところは人に見せてみないとわかりませんが。
ご参考になれば。
ご感想まで書いて頂き大変嬉しく思っております。
著者に代わりましてお礼申し上げます。
"Mag-7"はフラクタルでない形であれば、箱の中にもっと沢山のBFカードを入れておいて(勿論該当枚数は即座に出せるようにして、ですが)「実は印刷前のカードってのも売ってるところには売ってましてね」という感じで出し〜などという対応は可能だと思いますが、お手軽簡単を想定して組まれている手順な気がしますので、あまりその辺は考慮されていないような気がしますね。
個人的には「さらりと」やれば十分で、そのとき、さりげなく、何となく、上記のような「雰囲気」が出せればいいんじゃないかなと思ってます。フラクタルであることは魅力的ですし。この辺りの見せ方はマジシャンのパーソナリティにも依存するところなので、具体的にどうこう言いにくいところだと思ってますが。