2010年12月31日

ダイヤル式の鍵のマジック

せっかくの冬休みということで、今年最後の更新を。
普通は今年1年の総括とかするものかもしれないけど、面倒なので、普通に。まあ、軽く振り返ると、とりあえず、仕事が忙しかった。で、来年、今年以上に忙しくなることは確定(仕事は増える要素はあっても減る要素はない)。マジックもあれこれやったけど、特段、大きな進歩があったような気はしていない。
というわけで、普通にレビューでも。

今日の話はタイトル通り、数字のダイヤル式の鍵を使ったマジックについてレビューというか思うところを少々。
今手元にあるその手のマジックは

(1)ナンバー・ロック
(2)ドリーム・ロック
(3)0120:フリーダイヤル

の3つ。この手のマジックではバースデイロックが一番定番な気がするのだが、これは以前に知り合いのマジシャンに見せてもらい、私の好みに合わないというか、どうにも使いにくい気がして購入してない。現象そのものは好みなのだが、ギミックがどうにも。はっきり書くと、リンク先の現象にある「観客は、いろいろな数字で試しますが、鍵は絶対に開きません。」は保証されていない(というか開くことが結構な確率である)のが気に入らなかった(私が見せてもらったのと同じであれば。違ってたらすいません)。
で、持っている上記3つでいくと、(1)がお気に入りというか、(1)はかなりの頻度で演じている。リンク先の「現象2」の方をよく演じている。メンタル風に「3桁の数字を思い浮かべてもらうのですが、今は何も考えず、頭を真っ白にして下さい。私が指を鳴らすと、3桁の数字が頭の中に浮かんで来るので、その数字を言って下さい。」と言って、指を鳴らし、数字を言ってもらうという演出を好んでやっている。これは観客が自由に数字を思い浮かべたように見えて、マジシャンの力によって、その数字を思い浮かべさせられた、一種のテレパシー的な現象のような印象を与えるためである。
実のところ、(1)〜(3)はすべて「観客が自由に決めた数字で鍵が開く」という現象を起こしているので、上記の演技は(2)や(3)でも可能であるが、(2)と(3)は実はつい最近入手したもので、実はまだ一度も使ったことがないということと、種々の理由で(これからそれを書くんだけど)(1)が使いやすいからである。ただ、誤解のないように書いておくが、(1)がベストというわけではない。(1)には(2)と(3)にはない大きな制約があるから。

順番にいこう。私が(1)を使いやすいと思う最大の理由は(1)の鍵はレギュラー、つまり仕掛けのない鍵であるということである。実際、ロフトでこの鍵を売っているのを見た。したがって、改めに強いし、ギミックの仕掛けの操作という怪し気な動作も必要ない(という表現は誤解があるか。シークレットムーブは必要だし)。
仕掛けのない本当の鍵だから、本当に観客の選んだ数字でしか鍵は開かない。開いたら鍵として意味がないわけで。ただし、この部分については(3)も同じ。観客の決めた数字で鍵が開いた後は、その数字以外では本当に開かなくなる。だから、逆にその後閉めて、その数字を忘れてしまうと、本当に開かなくて泣くことになる。実際(1)で、練習中に間違えたみたいで、鍵が開かなくなって、必死になって開けたことがある。3桁の鍵で良かった。

(1)の大きなマイナス要因は「観客が数字を決めて言ったとき、鍵はまだマジシャンの手にある」という点。これが(2)と(3)とは大きく異なる。実際のところは、(1)を演じて、そのことについてとやかく言われた経験はなく、現象2の「ポケットから紙切れを出す」のところは蛇足になっている感じがある。たぶん、「鍵が開く数字は1パターンしかなくそれは固定」という固定観念があって、それをどうこうできるという発想自体が観客にないのではないかと思う。やり方はともかく、最近は普通に売っている鍵でも自分の好きな番号に設定する機能あるのにねえ。(3)は手順によっては、それを逆に利用して現象を達成していたりするし。まあ、(1)を演じて、そこを疑う人がいないとは言えないので、現象2の紙切れは念のためあった方がいいとは思うけどね。
というわけで、(1)は使いやすいし、マイナス要因も現実には、ほとんどマイナス要因になってないので、(1)は私としてはかなり満足度が高い。
しかし、一方で、やっぱり不思議さを上げるなら、観客が数字を決めたとき、鍵は観客の手にあり、その後マジシャンは鍵に触れないというのは、マジシャンとしてはこだわりたいところではある(上記のように観客の印象として、その違いはどうでもよいとしても、マニア的こだわりで)。あと(1)の鍵は3桁で小さいのもちょっと気になっている。やっぱり、4桁で重厚な印象のがいい。そういう意味では(2)と(3)は見た目はいい感じ。

ただ、(2)は私から見れば、かなり微妙。リンク先に書いてある「同様な鍵:「バースデイ・ロック」の最新・進化バージョン」という表現は、正しくそうで、私が期待し過ぎというのもあっただろうが、正直期待外れだった。「バースデイ・ロック」と同じく「適当にダイヤルを回してもらって開けてもらいますが、全く開きません。」はちょっと(かなり?)無理がある。「バースデイ・ロック」ではできないことができるというのは事実で、数字を完全に自由に選んでもらえるのも事実なので、「バースデイ・ロック」よりは使いやすいと思うし、演出次第で、かなり面白いマジックができそうだとは思う。ただ、改めが弱いので、手順の中でうまく改めを入れていかないとあまり不思議に見えない可能性がある。そういう意味では扱いが難しいギミックと言えるかなという気はする。その分、うまくいくとかなり不思議。(1)と(3)と違って、完全に鍵は観客の手にあり、一切マジシャンは手を触れないで現象が起こせるのは魅力的ではある。問題は繰り返しになるが、いかに鍵を改めるか(改めたという印象を与えるか)である。そこはマジシャンの腕の見せ所かもしれない。

(3)はこう考えてくると(1)と(2)の中間という気もしなくもない。まず、少なくとも(2)に比べて、かなり改めに強い。演技の最初も最後も観客に適当にダイヤルを回してもらっても開かない(そこで、調子にのって改めをやり過ぎると演技のテンポが悪くなるので、やり過ぎはよくないと思うけど)。ギミックの仕掛けがまたすごい。よくこんなの作ったなと思えるような仕掛けで、「これぞギミック!」という気がする。こんな仕掛けがあるなんて想像だにしないだろう。そういう意味でよく出来ている。その代わり(1)と(2)と比較すると、若干、マジシャンの仕事が多い。まあ、若干で、たいしたことではないのだが。ただ、(2)は演出と手順だけの問題でマジシャンの仕事はないし、(1)もシークレットムーブはあるのもの、流れでさらりとやればどうということはないのと比べると、ちょっとしんどい。慣れればどうということはなさそうであるが(そういう意味では、まだ演じてない状態で評価するのはアンフェアかもしれない)。
そういう意味において、(2)ほどではないにせよ、演出と手順は工夫する必要があると思う。そのマジシャンの仕事を自然にさらりとできるように。細かい話をすると、手順の中でどこでどう改めて、どこで仕掛けるかが悩ましいところ。テンポが悪くならない程度に、でも、怪しまれないくらいの改めを入れつつ、仕事をするタイミングを自然につくるというのは、よく考える必要があるように思う。リンク先の動画の演技で十分不思議に見えるけど、動画ではマジシャンが鍵に触っている時間が長いのが怪しく見えるような気もする。実際のところはもっと観客が鍵を触ってもまったく問題ないので、そこのバランスが難しいかなと。リンク先に書いてあるように、手順は2つついてきて、それぞれ十分不思議なんだけど、このギミックの使い方として、工夫の余地はまだまだあるなあと思っているところ。

現状、まだ(1)しか使ったことないので、(2)や(3)に言及したレビューを書くのは時期尚早で、上記の通り、(2)と(3)にも色々な可能性があるので、ここで結論めいたことは書けないかなと思う(じゃあ、そもそも今回のこの話は何なの?という話もあるが、3つ揃って思ったことを整理しておこうと思っただけなんですよ)。実際、(1)〜(3)にはそれぞれにメリット、デメリットがあって、「どういう現象を達成したいか」というそこからよく考えないと、いけない気がする。ギミックや手順として、どれがいいとか悪いとか、それは完全に好みや、達成したい現象次第という世界だと思う。実際に使って演じてみないとわからないこともあるだろうし、(2)と(3)についても、色々試行錯誤しつつ、試してみたいなというのが本音。(2)で私が「微妙」と思っている部分も観客はまったく気にしない可能性高いしね。

こうした、面白いギミックをどう活用するか、改めが弱いところをどう補強するか、等々考えるのは非常に楽しい。(1)〜(3)のそれぞれで、できることとできないことがあるので、そこをちゃんと整理して、自分なりに納得いく不思議で面白い、いい手順が構成できるといいなあ。

posted by shadow at 03:41 | Comment(4) | TrackBack(0) | レビュー(メンタル) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
鍵のマジックって自分はやりづらいなと感じてます。
一つ目が鍵を出す必然性がないこと。自分の演出不足もありますが、鍵がなぜ必要なの?と疑問を持たせてしまう。
二つ目が鍵自体がもともとメカニカルなものなので鍵自体に仕掛けがあると思われて不思議さが薄い。
結局、「怪しい鍵を持ってきてそれで不思議なことがおきたけど、仕掛けはよく分からない。」っていうモヤモヤを与えてしまいます。

ここら辺、どうやって切り抜けていますか?
Posted by nas at 2010年12月31日 08:45
こんにちは。質問ありがとうございます。
上記の通り「ナンバー・ロック」しか演じたことがないのですが、その経験だけで言わせて頂くと、特に何かしたりはしてないです。
これは想像で、上記でも触れてますが、通常の概念では「鍵は強固なもので、開くパターンは1つしかない」という固定観念があると思います。だから、「鍵という強固な物を使う」のはそれなりの説得力があると思っています。「心に思った数字を当てる」類のマジックは鍵以外にもありますが、鍵であるがゆえの説得力があると思うわけです。観客の間違った固定観念(思い込み)を利用しているわけですが。そこを演出でうまく適度に強調すれば鍵であることに意味を持たせられると思います。
あとは上記でしつこく書いている「改め」の程度問題だと思ってます。カードマジックや、コインマジックだって「仕掛けのある道具を使っているに違いない」と思っている人は少なからずいます。それを払拭する改めがあるから不思議に見えるのだと思います。それは鍵の場合も同じで、仕掛けがありそうに思えたとしても、無いように見えればそれでいいわけです。
まあ、現実にはどう改めても「何か仕掛けがあるんだろうけど、調べてもわからなかった。どんな仕掛けなんだろう」と思う人はいるでしょう。そういう人はほっておけばいいというのが、乱暴ですが、私の考えです。そういう人はどんなマジックやってもそう思います。そう思う人が一人でも少なくなるように演出、手順を工夫するわけです。

なので、結局のところ、上記で繰り返し書いてます、演出と手順の問題だと思ってます。
Posted by shadow at 2010年12月31日 10:24
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします♪

いつものことながら、
興味深いレビューをありがとうございます。
うーん、勉強になるなあ。
Posted by きーた at 2011年01月01日 04:08
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

ちょっと今回のレビューはやっぱり「反則」かなって思ってます。何度も演じたことのあるのと、1回も演じたことのないものを並べてああだこうだ言うのは公平なレビューじゃない気がしてます。それでも、何かの参考になれば。
演じてない2つも演じてみれば、意見が変わってくるかもしれません。そのときは改めて、ここで再レビューしたいと思ってます。
Posted by shadow at 2011年01月02日 00:25
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